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2017.12.19

友達関係ではなく師弟関係。足場職人の良い親方とは?


神奈川県相模原市の仮設足場施工とレンタルの「トライブ」です。今回はトライブに志望を考えている、ひいてはガテン系で1旗あげてやろうという気概を持つ人なら、1度は頭をよぎったことがあるであろう「親方」について書かせていただきます。突然ですが、鳶職の親方というと、どんな人を皆さんは思い浮かべますか?仕事も私生活も豪快で、仕事は厳しくも仲間思いで人情深い。さらには滲み出る男らしさから、器量も気持ちのいい「親方」像のイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか?

親方を目指している人ならいつかはそんな親方になってみたいものですよね。しかし、実はそんな親方像は少し前の話。最近は仕事のあり方とともに、昔の親方像はどんどん少なくなっているのが現状です。では最近はどんな「親方」が増えてきているのでしょうか?

「友達のような親方」が増えてきているが…危険はいっぱい「責任」と「現場の空気」

1言で行ってしまえば鳶の世界でもどんどん「師弟関係」が崩れていっているのです。「厳しいが、責任はちゃんと取るような親方」というよりかは、最近はどこか「年上のお兄さん」のような「友達感覚で弟分と接する親方」が多くなった印象を受けます。友達のような関係でチームになり仕事をすることは、一見空気は良くなっているように見えるかもしれないません。しかし友達のようなスタンスで仕事をすることは実は大変に危険な事なのです。

まず、例えば安全対策や事故の責任に関する対応1つとっても、昔なら当たり前とばかりに自分だけでなく周りの面倒を見てきた親方でしたが、最近は「自分さえ良ければいい、周りのみんなも自分の事は自分で責任とってね」と言わんばかりに、周りまで目を配る事が出来なくなってきている親方が増えてしまう事にもつながります。この事は万が一の際の責任の所在も曖昧になってしまう危険性をはらんでいるために非常に危ないことです。

次に、「全員が無責任な仕事をしてしまう」ことも危険視されます。これは友達関係の延長線上で仕事をしているため、「自分が親方」という意識が薄くなってきている事がチーム全体に波及、親方が押さえるところを押さえない結果みんながどこか「なぁなぁ」で仕事をするようになってしまい、現場・仕事自体の雰囲気がどこかビシッと締まらなくなってしまうのです。関係性がギクシャクする事を恐れて注意をしないのではなく、時には危ないことを「危ない」良くないことを「良くない」と言える責任感が親方には求められているのです。

時には心を鬼にできるのもいい親方の条件

「鳶」は江戸の華と呼ばれていたような職業です。昔は今でも考えられないほど荒く、時には愛の鞭として拳が飛んでくるような事もありました。しかし今の時代、当たり前といったら当たり前なのですが、手をあげたら人が辞めてしまいます。けど、考えてみてください。親方は誰よりも現場の命を預かる責任を持っています。となれば時には心を鬼にできる事も必要。しかし、それでもそれが暴力にはならない厳しさや、人がそれでもついてくる度量も理想の親方像の一つであります。

信頼できる親方で真摯に学ぶ姿勢が双方に求められる

これが1番問題なので最後に書かせていただきますが、先ほども書いた「友達のような関係」は弟分の成長にも響いてきます。友達感覚だから弟分が、自分ができない作業を棚に上げ親方に反抗。挙句は「自分の方がより効率的に仕事ができる」と考え、自己流で変な癖をつけてしまうことで、弟分の成長速度まで遅くなってしまうことに繋がるのもまた事実なのです。というのも、現場は何よりも経験こそモノを言う世界です。経験が浅い職人は親方や兄貴分のいいところや技術を素直に吸収して学んでいく姿勢こそが一番職人としての成長の近道なのです。

新人には経験という肉をつけて自信を持って成長して欲しい

しかしここで、勘違いしないで欲しいのは、これは「自分を全部捨てろ」と言っているわけではありません。散々叩かれて曲がりくねっても折れない芯こそプライドであり、そこに経験という肉をつけて自信を持って成長して欲しいのです。「できない」ことはハッキリ「できない」。ひたすら自己流に頑張るのではなく、時には色んな人の意見を素直に聞き入れ、他人のやり方も盗み、その上で自分のやり方を模索し、それを更に弟が真似をしていく。そういったサイクルが会社、現場、ひいてはあなたや、将来のあなたの弟分も含めた成長へつながり、現場全員が満足のいく仕事にも繋がるのです。

人の気持ちがわからないやつは親方にはなれない

弊社トライブは無駄が嫌いです。ですので暴力こそふるったりはしませんが、この厳しい昔ながらの親方のスタイルで新人を育てていくつもりです。

しかし、先ほども言ったようにそれはただ荒くに弟分を扱うのでなく、弟分が1人前になれるよう相手の気持ちを汲み取りコミュニケーションも同時に大事にしていかなければなりません。

冒頭にも書いた理想の親方像「厳しいが、人情深い」これは人の気持ちがわからないとできません。加え、トライブが扱うのは人が乗る「足場」です。どうすれば安全に作業ができるか、常に相手・現場のことを考えられるような懐の深さもなければ職人は務まらないのです。「相手のことを常に考えて作業する」これは親方が守らなくてはいけない事と同時に、将来親方を目指す弟分にもしっかりと学んで欲しいポイントでもあります。