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2019.9.3

狭い現場(狭小住宅)でも足場は組める?


こんにちは、神奈川県相模原市で仮設足場工事とレンタルを手がけているトライブです。

「仮設足場の現場はどんな現場も一律料金か?」
と訊かれれば、そんなことはもちろんありません。
高いクオリティを保つため……。条件によっては”どうしても施工料金が高くなってしまう”現場が存在します。

それは、たとえば「狭小地」、とにかく狭い現場のことです。
しかし、狭い…というだけでどうして費用が上がってきてしまうのでしょうか?

広い現場と比較した時、実は狭い土地で足場を組むことは皆さんの想像している何倍にも技術や労力が必要とされる現場であるのです。
狭小な現場での施工はその難しさゆえ、現場をご説明してより「できない」と一蹴してしまう仮設足場施工会社も存在するほどなのです。
どういうことでしょうか?今日は「狭小地における施工の難しさ」に関してブログ記事を書いていこうと思います。

 

狭小地でも足場は組めるのか?

結論から申しますと、組めます。
民法第234条においてはプライバシーに対する配慮を理由に、敷地境界線から50cm以上離して建物を建てる決まりがあります。
(ただし、あらかじめ隣家の了解を得ている場合であれば、このルールに縛られるわけではありません。)

例外もありますが、基本的には余程のことがない限りは、お隣さんとは50㎝は間が空いているということです。

では足場を組むためにはどのくらいの幅が必要なのでしょうか?

 

そもそも足場を組むのに必要な幅はどのくらい?

 

「狭小地」についてお話する前に、そもそも仮設足場自体を設置するのにはどのくらいのスペースが必要かご存知でしょうか…??

足場は、敷盤やジャッキベース、支柱、クランプなどを組み合わせて作ります。足場の足元となる部分のパーツ「敷盤」は通常のものですと約20cm前後のものがほとんどです。
ですので最低でもこのパーツが設置できる20cm前後のスペースが無いと仮設足場は組むことができません。

それでは、この20cm前後というのをふまえて狭小地とはどういうものなのか紹介していきましょう。

 

狭小地とは建物の間の現場、30cm取れれば”良い方”

さて、狭小地と聞いてどれくらいの現場面積を想像されるでしょうか?

仮設足場の現場において”狭小地”とは、主に「建物と建物の間の現場」のことを指します。
狭小地は住宅が多い東京はもちろんのこと、弊社が主な活動拠点にしている神奈川県の住宅街などにも存在する現場なのですが……

その幅は30センチあれば良い方、時としてヘルメットが通るか通らないかわからない程の幅や、もはや人が入ることのできない幅20センチなんて現場が狭小地であるのです。
※幅40センチ以下を狭小な現場とさせていただいております。

ビルとビルの間、住宅と住宅の間の施工ですので、「何があっても傷つけないように足場を組む」ことが大前提。
その中で通常の現場と同じクオリティの施工を求められますので、その針の穴を通すような正確性を求められる仕事は格別の技術を必要とするのです。

 

狭いと”なぜ”施工費用が上がってしまうの?


「狭い土地」・「狭い現場」、施工費用はただ”難しい現場だから”と言って金額があがるワケではありません。
なぜ、費用が高くなってしまうのでしょうか?
それは「広い現場」と比較してみるとお分かりいただけると思います。

広い現場で我々仮設足場工が当たり前のように受けている恩恵があります。それは、

・部材を担いで持っていける
・部材や器具を置くスペースが確保できる

大きくこの2点です。
仕事をする時、仮設足場業にとってこれらのポイントはスムーズな現場作業を進めるのに大きなメリットになります。

一方で狭小な現場、30cmの幅すら取れないような現場ではこれらの当たり前のメリットを受けることができません。
1つの部材を運ぶだけでも、パズルを組み立てるがごとし。まるでテトリスを正しい順番ではめていくような正確な指示と、連携が必要とされるのです。

 

部材の搬入搬出の費用はどうなるのか?

狭小地の費用について
先ほど紹介したように、狭小な現場で円滑な施工を満足に行うには、広い現場では必要のない
「”中継を行う・材料を運ぶ人員の確保”(人区)が余計に必要になってきてしまう」のです。

また、部材を運ぶ向きも選べなく分、自由は効かない分、組み立てに必要とされる1つの動きを取るのにも複数人で挑む必要も出てきます。 そうなるともちろん人区として、施工費用は必然と高くなってきてしまうのです。

 

そもそも狭小地が”出来ない”仮設足場業者とは?

冒頭で申しあげた「狭小地の現場は不可能」と、初めから断ってしまう足場施工会社にも”事情”がございます。

それは会社によって扱える足場の専門の種類によるものです。
狭小な現場に不向きな足場は例えば”楔式”。

楔式の足場の場合、足場板などのパーツを設置しますが狭小地の場合設置することがかなり難しいか設置そのものが不可能なことがあります。

ですので、基本的に狭い場所で楔式を組むことは原則的にいたしません。こういった現場で用いるのは”単管足場”なのです。
楔式を専門としている足場施工会社であれば、「狭すぎて施工が不可能」であるのは当然、その仕事を弊社におもち寄せいただくケースもございます。

また単管で組む仮設足場の「足場」、移動するスペースは非常に狭く、危険度が増します。

狭小地に限った話ではありませんが、狭い足場や高所での作業になる場合は常に安全帯をつけながら、事故や安全にも配慮して作業しなければいけません。

 

狭小地の仮設足場を組むには職人の技量にも左右される

狭小地は職人にも左右される
単管足場が活躍できる現場であったとしても、その組み立て方はやはり広い現場と比べると勝手が違ってきます。
狭い現場では、たとえば”インパクト”と呼ばれる電動の機材を使って足場を組み立てることができません。もっぱら用いるのは手動のラチェットです。
狭い現場の壁を傷つけないよう細心の注意を払い、1つ1つ組んでいく必要が出てくるのです。
そうなってくると手間がかかってきてしまう分、やはりコストという形でも高くついてしまうのです。

また狭小地の場合、隣の物件との距離が非常に近いので間違っても傷つけないようかなりの配慮が必要になります。

組むのも一苦労、その後足場を解体するのもまた非常に大変な作業になるので広い現場と違い、やはりコストはそれなりにかかってしまいますね。

 

クサビ式足場(ビケ足場)が普及する背景

昨今の住宅の施工においては、クサビ足場(ビケ足場とも呼ばれています。)の比率が圧倒的に多くなってきています。

というのもいくつか理由があり、

・1 組み立ての方式がシンプルで新人の方でも覚えやすい

・2 組み立ての規格が決まっていて失敗が少ない

・3 部材としても耐久性があり会社としても長期的に保有できる。

・4 コンパクトに結束ができるので輸送コストが下げられる。

などが挙げられます。

1 組み立ての方式がシンプル

クサビ式足場を組み立てて行く工程の中で、支柱やブラケットをハンマーで打ち込んでいくというシンプルな作業が多いので、専門色が強い技術職の中でも比較的覚えやすくわかりやすい、というのが大きなメリットです。また伴って使用する道具もハンマーだけなのもわかりやすい。

2 組み立ての規格が決まっていて失敗が少ない

組み立てる工程や規格がある程度決まっている中で施工していくので、わかりやすい分失敗も少ないです。

3 部材の耐久性があり長期的に保有できる

部材の耐久性を高めるために、主要の部材には亜鉛メッキが施されています。
通常「ドブメッキ」とも呼ばれています。亜鉛メッキには保護皮膜作用や犠牲防食作用によってサビに強くできています。

サビや汚れに強く耐久性の高い材料ですので、厳しい現場仕事にも安心して長い間使用することが可能です。

4 結束がコンパクトで輸送コストが下げられる

コンパクトに結束して動かすことができるので、運搬費などの輸送コストを抑えることが可能です。また、そもそも重量が軽いので、他の足場に比べて少ない人数で運ぶことも可能です。人件費も抑えることができるので大きなメリットになりますね。

 

その他の足場

枠組み足場・・・大規模の足場仮設などではよく使われます。こちらもそこまで工程が複雑ではないので細かな技術が必要ありません。規模が大きな現場では利益も当然多くなるので、枠組み足場にシフトしていく会社も最近は出てきています。

 

単管足場の背景

 

上記の様に、クサビ式足場や枠組み足場が増えてきているので、単管足場は徐々に少なくなってきています。また職人さんによっては単管足場は難しい現場で使用するものという認識もあるかもしれません。

実際、現場でのシェア率が高いクサビ式などの足場材を持っていれば活躍する頻度が高いことや、寿命が長いのである程度持っていても良いですが、出番が限られてしまい使う頻度が低い単管の足場材を会社として持っておくのはコストパフォーマンスが良くないので、損失となってしまいやすいです。

また、足場がパイプで滑りやすいので雨の日などは危険ですし、安全面への配慮から敬遠されがちな背景もありそうです。

 

狭小住宅への施工費用

単管足場を使用するだけであれば、組み立てもシンプルで重量も軽いので、一般的な相場に比べると少し安くなる傾向があります。

しかし狭小住宅においては、

・足場の設置がギリギリで手間がかかる

・隣近所への配慮や、より繊細な仕事と気遣いが求められる

・単管足場を使う以上は、落下による怪我や安全面への配慮が普段以上に必要になる

など、一般的な現場に比べて手間がどうしてもかかるため、弊社では、2〜3万円ほどは追加でいただいております。

足場材が軽いと言っても、狭いギリギリの場所に鉄パイプを運んだり移動するだけでも大変で、搬入や組み立てにも時間がかかってしまいます。

また、当たり前ですが、現場は広ければ広いほど仕事がしやすいです。
狭くなればなるほど仕事がしにくい環境で仕上がりを求められるわけですから足場職人の腕が試されます。それだけ職人たちもいつも以上に気合が入ります。

 

狭い現場でも目を配るのは全方位

今日は仮設足場業者の手こずる狭小地・現場のご説明をさせていただきました。

「狭い現場施工費用が高くなってしまうのはなぜか?」
と尋ねられた場合、弊社は以上の理由をお話ししてご納得していただいております。

また、狭い現場で弊社が気をつけていることは、「物理的な問題」だけではありません。
建物と建物の間に存在する狭小地ですから、現場近くは人の往来が活発であったり、まさに近隣にお住まいになられている方への配慮も欠いてはいけません。
環境に左右されることなく、ハイクオリティは施工の”外”までお約束する。
それが弊社が何より大切にしているトライブのプライドです。

トライブでは、通常の現場はもちろんのこと、狭小地でも安心安全の足場を組んでいます。他社で狭いがゆえに無理だと断られてしまった方もぜひ一度トライブにご相談ください。